WRAPファシリテータの力

東京WRAPのWRAPファシリテータは、WRAP(元気回復行動プラン)の実践において、ファシリテータの力・言語の重要性・沈黙の力を相互に活用しながら、効果的な場づくりを支えています。
これらの要素は独立したものではなく、お互いに影響し合いながら、参加者の成長や気づきを促す環境をつくるために不可欠なものです。

以下に、それぞれのポイントを詳しく説明します。


1. ファシリテータの力:安心と成長を引き出す役割

WRAPファシリテータは、参加者が自分の経験を尊重され、安心できる場を提供する重要な役割を担います。
ファシリテーションのあり方が、場の雰囲気や参加者の学び・成長に大きく影響を与えます。

🔹 役割の本質:サポートとエンパワーメント

  • 参加者が自らの強みや選択肢を発見できるよう支援する。
  • すべての意見や経験が尊重される環境をつくる。
  • 「支援する人」ではなく、「共に学び合う存在」 として関わる。

🔹 倫理と価値観:WRAPの「5つの大切なこと」を実践する

https://wrap-jp.net/morality_2.html
ファシリテータは、WRAPの基本概念(希望・主体性・学び・権利擁護・サポート) を体現しながら進行することで、より良い場づくりを促します。

  • 希望(Hope):どんな状況でも回復の可能性があることを伝え、希望を持てる場をつくる。
  • 主体性(Personal Responsibility):参加者が自分のリカバリーに責任を持てるよう、選択肢を提示する。
  • 学び(Education):知識を押し付けるのではなく、対話を通じてお互いに学び合う姿勢を持つ。
  • 権利擁護(Self-Advocacy):参加者が自分の意見やニーズを大切にできるようサポートする。
  • サポート(Support):対等な関係のもと、支え合いながら進む場をつくる。

💡 実践のポイント:
✅ 「導く」のではなく、参加者が自分で気づきを得られるような問いかけを意識する。
✅ 参加者一人ひとりのペースを尊重し、安心して発言できる場をつくる。


2. 言語の重要性:言葉がもたらす影響を意識する

言葉には力があります。
ファシリテータがどのような言葉を選ぶかによって、参加者の感じ方や、グループ全体の雰囲気が大きく変わります。

🔹 建設的な言葉の選択:希望と自己肯定感を育む

  • 参加者が自分自身を肯定できるような言葉を意識する。
  • 「できていないこと」ではなく、「できること」「前向きな変化」に焦点を当てる。
  • たとえば、「大丈夫?」よりも、「今どんなふうに感じていますか?」と聞くことで、主体的な表現を促す。

🔹 非臨床的な言葉遣い:診断ではなく個人の体験を尊重する

  • WRAPは「治療」ではなく、「自分らしい元気な生活をつくるためのプラン」 であることを意識する。
  • 専門用語や診断名ではなく、「その人の経験」 を大切にする表現を使う。

🔹 肯定的な視点を持つ:感情を受け止める言葉の力

  • 「ネガティブな感情=悪いもの」と決めつけず、「その感情があること自体が自然なこと」 という視点を伝える。
  • 例:「困難な感情は異常ではなく、状況への自然な反応である」

💡 実践のポイント:
✅ 「ポジティブな言葉」ではなく、「意味のある言葉」を使う。
✅ 参加者が自分の言葉で表現できるよう、オープンな問いかけを意識する。


3. 沈黙の力:気づきと対話を深める時間

沈黙は、決して「何もしない時間」ではありません。
ファシリテータは、沈黙を恐れず、対話の流れの一部として活かすことが重要 です。

🔹 安心感を提供する:沈黙は考える時間

  • すぐに話すことを求めず、参加者が自分の気持ちを整理する時間を尊重する
  • 沈黙があることで、考えが深まり、より自分らしい言葉が出てくることもある。

🔹 非言語的なサポート:言葉以上に伝わるもの

  • アイコンタクトやうなずき、穏やかな表情は、参加者に「受け入れられている」という安心感を与える。
  • 「言葉で伝えることが難しい」と感じる人も、ファシリテータの態度や雰囲気から安心感を得られる。

🔹 グループダイナミクスを促進する

  • 沈黙があることで、「他の人が話すきっかけ」になりやすい。
  • すぐに次の話題に移るのではなく、「沈黙が意味を持つ時間」として機能するよう意識する

💡 実践のポイント:
✅ 沈黙を埋めるのではなく、場の流れとして大切にする。
✅ 参加者のペースを尊重し、焦らずに対話を見守る。


4. まとめ:相互に作用する3つの要素

ファシリテータは、言語を通じて参加者をサポートし、沈黙を活かして深い気づきを促します
これらの要素をバランスよく活用することで、参加者が自分自身のエキスパートとして自信を持ち、リカバリーの道を自分のペースで進めることを支援 します。

このアプローチが、リカバリーの無限の可能性を引き出し、参加者が元気であり続けるための土台 となります。

💡 最後に:
ファシリテータは「教える人」ではなく「共に学び合う人」
言葉の力を意識し、参加者が希望を持てる表現を使う
沈黙を恐れず、自然な流れとして受け入れる

これらを実践することで、WRAPの場は「ただ話す場」ではなく、「自分の可能性を見つける場」となるのです。

東京WRAPの個人的な見解です。

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