仕事について学んだこと
15年間障害者枠で働き続けてきました。様々な気づきも発生しました。簡単にまとめてみました。
Part 1: 自分を整える
WRAPの考え方を使って、日々のコンディションを主体的に管理するためのあなただけの道具箱(ツールキット)を作ります。まずは自分自身を深く理解し、安定した働き方の土台を築きましょう。
仕事仕様の「元気の道具箱」
職場でさりげなく使える、気分を良くするための100のアイデア。カテゴリを選んで、あなただけのリストを見つけてください。
安定して働くための生活の土台作り。「いい感じの自分」を保つための習慣をリストアップし、意思決定の負担を減らしましょう。
毎日するとよいこと
- 決まった時間に起き、決まった時間に寝る
- 朝食を必ず食べる
- 処方された薬を忘れずに飲む
- 出勤前に10分間のリラックスタイムを持つ
- 仕事の「終了の儀式」を行う
時々するとよいこと
- カウンセリングや通院の予約を入れる
- 計画的に有給休暇を取得する
- 趣味に没頭する時間を作る
- 友人と仕事以外の話をする
不調のきっかけとなる外部の「引き金」と、内側からの「注意サイン」に気づき、事前に行動計画を立てておくことで、大きな不調を防ぎます。
引き金 (Triggers) と対応プラン
例:急な仕事の依頼が来たら → 深呼吸を3回し、「一度持ち帰って確認します」と伝える。
注意サイン (Warning Signs) と対応プラン
例:メール返信を避けている自分に気づいたら → 席を立って歩き、まず1通だけ返信する。
調子が悪化した場合や、危機的状況に備えるためのプランです。判断力が低下していても従えるよう、シンプルで具体的な指示をあらかじめ用意しておきましょう。
調子が悪化してきた時のプラン
- 直ちに上司に伝え、早退・休暇をとる
- 主治医・カウンセラーに連絡する
- 信頼できる人に状況を伝える
クライシス(危機)への備え
- 介入をお願いしたい人の連絡先を共有
- 業務の引き継ぎ情報をまとめる
- 復職に向けた希望を伝えておく
Part 2: 職場で協働する
IPS(意図的なピアサポート)の考え方を用いて、職場での関係性を「支援」から「協働」へ。対話を通じて、あなたもチームも共に成長できる環境を築く方法を探ります。
「自分のトリセツ」で対話を開く
あなたの強みや必要な配慮を、相手に分かりやすく伝えるためのツールです。これは要求リストではなく、チームの成果を高めるための「協働の提案書」です。
私の強み・得意なこと: 細かく正確さが求められる作業に集中できます。
力を発揮できる働き方: 指示を文字でいただけると、確実に業務を遂行できます。
困難を感じやすいこと: 口頭での抽象的な指示は混乱しやすいです。
ご協力いただけると助かること: 業務指示をメールでいただけると、私の強みを最大限に活かせます。
合理的配慮という「対話のテーブル」
合理的配慮は、法律で定められた権利であり、建設的な対話を行うための公式な機会です。DESC法を使って、自分の考えを客観的かつ建設的に伝えましょう。
Describe (描写): 客観的な事実を伝える。「一度に複数のご指示を口頭でいただくと…」
Express (表現): 「私」を主語に気持ちを伝える。「不安になり、業務の質が落ちるのではと心配です。」
Specify (提案): 具体的な解決策を提案する。「メールでご指示いただけますでしょうか。」
Choose (選択): 代替案や肯定的な結果を伝える。「そうして頂けるとミスも減らせると思います。」
Part 3: 未来を描く
長期的な視点で、あなた自身の価値観に基づいたキャリア戦略を描きます。オープンかクローズか、経験をどう活かすか、そして頼れる社会資源について探求します。
オープンかクローズか?
職場で障害を開示するかどうかは、キャリアにおける重要な選択です。データは、その判断の一助となります。1年後の職場定着率には、顕著な差が見られます。
オープン就労のメリット
- 必要な配慮を得やすい
- 通院や体調不良時に休みやすい
- 精神的な負担が少なく、安心して働ける
クローズ就労のメリット
- 求人の選択肢が広い
- 給与水準が高い傾向
- キャリアアップの機会が多い可能性
経験を価値に変えるキャリアパス
ピアサポート専門員
自身の回復経験を活かし、同じ困難を抱える仲間を支援する専門職です。
社会活動・NPO職員
メンタルヘルスに関する啓発活動や制度改善など、社会に働きかけます。
起業家
当事者としての視点から、課題を解決する新しいサービスや製品を創出します。
頼れる社会資源ナビゲーション
就労移行支援事業所
就職準備から職場定着まで、原則2年間、一貫したサポートを提供します。
ハローワーク(専門援助)
障害者専門の求人紹介や職業相談を行う、公的な相談窓口です。
リワークプログラム
休職中の方のスムーズな職場復帰と、再休職の予防を目的とします。
障害者就業・生活支援センター
仕事だけでなく、金銭管理や住まいなど生活全般の悩みを相談できます。
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