リカバリーにおける「ピア(仲間)と関係性」の再定義
― つながりを“使わない”ために ―
「関係性」が支援の道具になるとき
リカバリーは、
ピアや人とのつながりによって支えられる。
この考え方自体は、とても大切なものだ。
しかし日本の現場では、この言葉が次のように使われやすい。
- つながりがあれば安定する
- 孤立は悪いこと
- 仲間がいれば前向きになれる
その結果、
**関係性が「安定させるための装置」**として扱われてしまう。
当事者から見ると、
つながることが目的になっていて、
どうつながるかは問われていない
という違和感が残る。
管理のための「つながり」が生む問題
日本の現場では、
関係性が次のように機能してしまうことがある。
- ピアにつなげれば落ち着くはず
- グループに出れば変わるはず
- 仲間がいるのに不調なのは本人の問題
これは、
関係性を変化を抑えるための手段として使っている状態だ。
その中では、
- 本音を言わない方が評価される
- 波立てない人が「回復している」とされる
- 違和感や怒りは「空気を乱す」と扱われる
リカバリーではなく、
同調の訓練になってしまう。
リカバリーの視点で捉え直す「ピアと関係性」
リカバリーにおけるピアとは、
当事者を落ち着かせる存在でも、
正しい方向へ導く存在でもない。
それは、
- 同じように迷い
- 同じように揺れ
- ときに関係がうまくいかなくなる
対等な一人の人である。
ピアとの関係は、
希望を与えるためのものではなく、
孤立しないための関係である。
日本の現場で起きやすい「ピアの理想化」
日本では、ピアが次のように扱われやすい。
- 成功した当事者
- 模範的なリカバリーの体現者
- 前向きなメッセージを語る役割
その結果、
- つらさを出せないピア
- 揺れを見せると「役に立たない」とされるピア
- 支援者側に寄りすぎてしまうピア
が生まれる。
これは、
ピアを人として扱っていない状態である。
リカバリーに必要な「関係性」とは何か
リカバリーにおける関係性とは、
- いつもわかり合える関係
- 仲良くし続ける関係
- つながりを切らない関係
ではない。
それは、
- 合わないと感じても離れていい
- 距離を取っても戻ってこられる
- うまくいかなかった関係をやり直せる
壊れても終わらない関係である。
リカバリーとは、
「つながる力」よりも、
関係をやり直せる力を育てる過程である。
支援者・制度に求められる姿勢
ピアや関係性を
リカバリーの支えにするために、
支援者や制度に求められるのは、
- ピアを管理や安定化の道具にしない
- 関係がうまくいかないことを問題化しすぎない
- ピアが揺れることを許容する
- 「合わない」という感覚を尊重する
ことである。
関係性を保つとは、
無理につなげ続けることではなく、
選べる距離を残すことである。
ピアを通じたリカバリーの本質
ピアとの関係がリカバリーを支えるのは、
正解を教えてくれるからではない。
それは、
- 自分だけではないと知る
- 失敗しても排除されないと感じる
- 揺れても人でいられると実感する
その経験が、
管理されない自分を取り戻すからである。
まとめ(⑤の結論)
リカバリーにおける
「ピア(仲間)や関係性」とは、
うまくつながることではなく、
うまくいかなくても
人として扱われ続けること。
である。
関係性が管理のために使われたとき、
リカバリーは
「おとなしくなるための練習」に変わってしまう。
だからこそ、
ピアや関係性は、
成果や安定のためではなく、
私たちはペットではない、人でい続けるための場として守られる必要がある。
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