メンタルヘルスの羅針盤
日本のメンタルヘルスに、新たな地平を。
世界のメンタルヘルスケアは、「病気を治す」から「その人らしい、満足のいく人生を支える」へと大きく舵を切っています。このサイトは、日本でまだ十分に知られていない「リカバリー」という希望の哲学と、それを支える具体的なアプローチを、わかりやすくインタラクティブに探求するためのガイドです。
探求を始める支援の根幹にある、大きな転換
従来の「医療モデル」と、新しい「リカバリーモデル」。その違いは、支援の目的そのものを再定義します。
リカバリーの旅を探る
リカバリーの哲学を実践に移すための、世界的に認知されたフレームワークとツールを見ていきましょう。
ストレングスモデル
支援の焦点を「できないこと」から「できること」へ。当事者が本来持つ「強み」や才能、願望に意図的に光を当て、それを活用して目標を達成するアプローチです。
6つの原則を見る
- 人はリカバリーし、生活を改善できる。
- 焦点は病理ではなく個人のストレングス。
- 地域は資源のオアシスである。
- クライエントこそが支援の監督者。
- 支援者との関係性が根本である。
- 仕事の主要な場所は地域である。
トラウマインフォームドケア (TIC)
「あなたに何が問題か?」ではなく「あなたに何があったのか?」と問う視点。トラウマの影響を理解し、無意識に人を傷つけることを防ぎ、安全な環境を築くための組織的フレームワークです。
4つのRを見る
- Realize (理解する): トラウマの広範な影響を理解する。
- Recognize (気づく): トラウマの兆候を認識する。
- Respond (対応する): 知識を実践に取り入れる。
- Resist Re-traumatization (再トラウマ化を防ぐ): 安全な環境を維持する。
WRAP® (元気回復行動プラン)
自分自身のウェルネスを維持するための、いわば「自分自身の取扱説明書」。当事者自身が作成し、元気な状態を保ち、困難な状況を乗り越えるための具体的な計画です。
プランの構成要素を見る
- 元気の道具箱
- 日常生活管理プラン
- 引き金と行動計画
- 注意サインと行動計画
- クライシスプラン(事前指示書)
- クライシス後のプラン
インテンショナルピアサポート (IPS)
「支援者-被支援者」という一方的な力関係に挑戦し、双方が共に学び成長する「相互的」な関係性を意図的に築く、より進んだ形のピアサポートです。
3つの原理を見る
- 共に学び、共に成長する:「助ける」という意図から、「共に学び、成長する」という視点へと焦点を移す。
- 関係性を大切にする:個人に焦点を当てるのではなく、関係そのものの質に目を向ける。
- 希望に基づく関係性:恐れに基づく反応から離れ、希望と可能性に基づく関係性へと移行する。
リカバリーの声
生きた経験の物語は、希望の灯火となります。ここでは、典型的なリカバリーの物語を紹介します。
居場所を見つける物語
長年の孤立から、初めて「自分のままでいられる場所」を見つける。診断名ではなく、一人の人間として受け入れられる経験が、社会と再びつながる第一歩となる。
自分の専門家になる
不調のサインを学び、危機が訪れる前に「元気の道具箱」を使う。大きな波を乗りこなし、入院せずに生活を立て直す自信を得る。
新たなアイデンティティを築く物語
「患者」という役割を超え、忘れかけていた情熱を再発見する。「写真家」という新たなアイデンティティが、人生に新しい意味をもたらす。
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