元気回復行動プラン(WRAP)とは
アメリカのメアリー・エレン・コープランドがまとめたセルフヘルプ、セルフケア プログラムです。
メアリー・エレン・コープランドがワークブックを何冊か書いており、掛かれた本にリカバリーとWRAPの原型が見受けられます。
何らかの精神疾患をかかえつつも日常生活を送っている当事者たちにメアリー・エレン・コープランドがアンケートをとり、アンケート結果から共通する項目を抽出したプログラムがWRAPとなっています。
リカバリーに大切な5つのこと(希望、主体性、学び、権利擁護、サポート)、WRAPは引き金、注意サイン、調子が悪くなるサイン、クライシスプラン、クライシス後プラン、元気の出る道具箱からなります。
アメリカのピアサポーターにはWRAPファシリテータが必須になっています。また、WRAPのクライシスが法律的にも認められているアメリカの州もあります。
日本ではH19.9.18に障害保健福祉関係主管課長会議 資料9-2にて会議にのぼっており、2017年7月現在745名を超えるWRAPファシリテータが日本にいます。
技法
内容としてはリカバリーに大切な5つのこと(希望、主体性、学び、権利擁護、サポート)、WRAP(元気になる道具箱、日常生活管理プラン、引き金、注意サイン、調子が悪くなってきているときのサイン、クライシスプラン、クライシス後のプラン)から構成されています。
自分の専門家は自分という考え方を元にリカバリーに大切な5つのことやWRAPを自分の症状や対策をまとめていきます。答えは自分の中にあります。
通常はWRAPクラスというWRAPファシリテータが運営するセルフヘルプグループで、参加者がお互いに学んでいきます。
WRAP:リカバリーの具体例
テーマ | 意味 | 具体例 |
---|---|---|
希望 | 自分を応援するもの、トンネルの向こう側にあるような光のようなもの厳冬期に外から家に入った暖炉、 | 就労する。週末に人と話す。 |
責任を持つこと | 主体性を持って、自分でしたいことをはじめたり、辞めたりする責任は自分にあり、他人に指示されるものではないということ。 | 日常生活の作業やWRAPのプログラムで何をするか決定すること |
学ぶこと | 自分が暮らしていくうえで必要なことを学んでいきます。 | 自分の症状、社会制度、支援方法を学びます。 |
私の権利を守ること | 自分が権利を主張しても良いということを知り、権利を獲得するために必要なことを行う。 権利を得ることは時間や苦労がかかることもあります。 | 自分が仕事をしたいという権利病院から退院したいという権利 |
サポート | 支援者によるサポートや当事者によるピアサポート、その他の人との交流の中で発生するナチュラルサポートなど | セルフヘルプ、WRAPクラスNPO、ボランティア |
WRAP:元気回復行動プランの具体例
プ ラ ン | 内容 | 具体例 |
---|---|---|
元気の出る道具箱 | 自分が元気になる方法をまとめたものです。 | 音楽鑑賞、絵画を見る、テレビを見る、運動する。 |
日常生活管理プラン | いい感じの自分、普段の自分をまとめ、普段の自分らしくいるために毎日することや
たまにすることをとりまとめたもの |
おしゃべり、アロマテラピー
運動 |
引き金となる出来事に対処するプラン | 外部から受ける自分の心体に影響する出来事出来事に対応する自分のプラン | 地震、犯罪報道寝る、食べる |
注意サインに対処するプラン | 自分の心体に発生した出来事また、出来事に対応する自分のプラン | 不安、発熱寝る、頭を冷やす |
調子が悪くなっている時のプラン | 状態悪化時の気分や行動状態悪化時の対応方法 | 相手を責めるクールダウン、ピア・カウンセリング |
クライシスプラン | 助けてがいえない状況の時を定義します。症状、希望する治療、頼みたいサポート、終了サイン | 借金を抱えている。そう状態でギャンブル依存
盗癖 |
緊急状況を脱した時のプラン | 毎日すべきこと重大な意思決定しないこと | 運動を普段の1/2で行う。会社を辞めない、離婚しない |
有効性
アメリカの公的団体であるSubstance Abuse and Mental Health Services Administration (SAMHSA)のEBPの手法なら有効性を示す手法があります。また、WRAP受講者で、「効果があった」と唱える当事者は多いです。しかし、はっきりとした科学的根拠は見受けられません。
しかし、既に効果があったと唱える当事者しか残っていなく、効果がなかった当事者は対象になっていない可能性もあり、今後の科学的アプローチを待つ必要があります。
イギリスでも同様に注目され、リカバリーカレッジなどの民間団体でWRAP定期クラスが開催されています。
セルフヘルプ
当事者が当事者によるセルフヘルプとなっています。定期クラスにかようことで、本人が気がついていない元気回復行動プランを使い方を学ことができます。WRAP定期(連続)クラスはセルフヘルプグループにもなっています。
出典
Action Planning for Prevention and Recovery(samhsa)
Wellness Recovery Action Plan (WRAP) (NHS)
外部リンク
- “障害保健福祉関係主管課長会議 H19.9.18”. 厚生労働省. 2016年8月8日閲覧。
- “samhsa”. samhsa. 2016年8月8日閲覧。
- “NHS”. NHS. 2016年8月8日閲覧。
- “リカバリー中心のメンタルヘルスサービスへ”. 巣立ち会. 2016年8月8日閲覧。
- WRAPの道具箱
- 精神障害者のリカバリーを促進するプログラムの実践と評価