🌸 はじめに
Taking Action(テイキング・アクション)は、
メンタルヘルスのリカバリー(回復)を支えるために作られた、
学びとつながりのための自己学習プログラムです。
病気を「なおす」ことではなく、
「自分の力を思い出し、希望を持って生きること」をめざしています。
🇺🇸 誕生の背景 ― いのちを取り戻すために
アメリカでは、精神疾患や依存症を抱える人の平均寿命が一般の人より20〜30年も短いという深刻な現実が報告されています。
その理由は、病気そのものよりも、社会的な孤立や貧困、偏見、支援の不足、身体の健康管理の難しさなどが重なって起こるものです。
(参照:東京大学医学部附属病院プレスリリース、Oxford University News)
この現実を前に、アメリカ保健福祉省(HHS)の
**物質使用とメンタルヘルスサービス局(SAMHSA)**は、こう考えました。
「人は病名ではなく、“生きている人”である。
だれもが希望をもって、自分の人生を取り戻す力を持っている。」
そして、WRAP(ウェルネス・リカバリー・アクション・プラン)を生み出した
メアリー・エレン・コープランド博士に委託し、
教育を通じてリカバリーの力を育てるプログラムとして
Taking Action: A Mental Health Recovery Self-Help Educational Programを作りました。
この公式資料は、2014年にSAMHSAから発行されています。
📘 公式マニュアル(PDF/英語):
https://copelandcenter.com/sites/default/files/2024-01/Taking%20Action%20A%20MH%20Recovery%20Self-Help%20Ed%20Program.pdf
💫 Taking Actionの目的
Taking Actionは、
精神的な困難や依存症の体験を持つ人が、
自分の生き方を取り戻し、仲間とともに希望を育てることを目的としています。
このプログラムは、次のような力を育てます。
- 希望を見つける力
- 自分を理解する力
- 元気を保つ力(ウェルネス)
- 仲間と支え合う力
- 自分の声で決める力(自己決定)
Taking Actionは、「教えられる場」ではなく、
ともに学び合い、自分の道を見いだすための場です。
🌿 大切にしている考え(Values & Ethics)
Taking Actionには、つぎのような中核の価値があります。
- 希望(Hope)
人はよくなれる。リカバリーには限りがないという信じる心。 - 自己決定と力づけ(Self-determination & Empowerment)
自分で選び、自分で決める。その力を育てる。 - 対等と尊敬(Equality & Mutual Respect)
誰もが同じように大切で、思いやりと敬意をもって関わる。 - 多様性の受け入れ(Diversity & Inclusion)
文化、性、年齢、能力、感じ方のちがいを尊び、誰も排除しない。 - 力へのまなざし(Focus on Strengths)
足りないところではなく、すでに持っている力に光を当てる。
🌻 プログラムの構成(24のセッション)
Taking Actionは、全部で24のテーマに分かれています。
それぞれのテーマは、リカバリーの歩みを一歩ずつ深める内容になっています。
| 段階 | 内容のあらまし |
|---|---|
| 🌼 Ⅰ:リカバリーの土台を知る | 希望・自尊心・自己決定など、心の基礎を育てる。 |
| 🌿 Ⅱ:自分を支える力を身につける | 支え合い・健康・気分転換・仲間との関わりを学ぶ。 |
| 🌺 Ⅲ:アクションプランを作る | 引き金や注意サインへの気づき、危機への備えを深める。 |
| 🌳 Ⅳ:リカバリーを生き方にする | 働くこと、困難を乗り越えること、喜びを分かち合う。 |
24回を通して、知る → 気づく → 試す → 生きるという流れをたどります。
🤝 参加と進め方
Taking Actionでは、誰もが対等な仲間です。
ファシリテーター(進行役)も「先生」ではなく、ともに学ぶ人です。
- 参加は自発的で、話しても話さなくてもよい。
- 正しい答えを探すのではなく、自分の答えを見つける。
- 人の体験を「評価」ではなく、「共感」と「尊敬」で受けとめる。
Taking Actionの場は、安心・尊敬・希望を大切にする小さな共同体です。
🌎 現在の広がり
Taking Actionは、アメリカのさまざまな地域で導入されています。
- ピアサポートセンターや地域のリカバリー拠点
- アルコール・薬物依存からの回復支援施設
- 刑務所や地域再生プログラム
- ホームレス支援やDVシェルター
- 大学やメンタルヘルスの教育機関
公式サイトでは、学びの構成や実践のガイドが公開されています。
📍 Center for Health & Social Development – Taking Action
🌞 Taking Actionが伝えたいこと
Taking Actionは、
「短い寿命」「失われた希望」「孤立」という現実から生まれたプログラムです。
その根にあるのは、
**「人は、どんな状況からでも回復し、成長できる」**という信念です。
🌱「わたしたちは病気を生きているのではなく、
生きるために希望を見つけていく。」
Taking Actionは、
だれもが自分の力を取り戻し、仲間と支え合いながら、
長く・豊かに生きるための道しるべです。
📘 参考資料:
- Taking Action: A Mental Health Recovery Self-Help Educational Program, SAMHSA, 2014(HHS Publication No. SMA 14-4857)
- Copeland Center for Wellness & Recovery