「リカバリー(Recovery)」とは、心の病気を“治す”という意味ではなく、
自分らしく生きる力を取り戻していく道のりのことを指します。
つらい経験や生きづらさを抱えたとしても、
人はそこから立ちあがり、学び、成長していくことができます。
リカバリーは、その過程を一歩ずつ歩んでいくための考え方であり、生き方でもあります。
🌿 リカバリーの考え方
アメリカのメンタルヘルスサービス局(SAMHSA)は、リカバリーを次のように伝えています。
「リカバリーとは、人が自分の健康とウェルネスを高め、
自分の人生を自ら選び、可能性を最大限に生かそうとする変化の過程です。」
つまりリカバリーは、
「病気がなくなること」ではなく、
自分で自分の人生をつくり直していく力を取り戻すことなのです。
🌼 リカバリーを支える4つの柱
SAMHSAは、リカバリーを支える4つの大切な要素を示しています。
- 健康(Health)
体や心を大切にし、健やかに生きる力を育むこと。 - 住まい(Home)
安心して暮らせる場所があること。 - 生きる目的(Purpose)
仕事、学び、家族との時間、創作など、
日々に意味と喜びを見つけること。 - つながり(Community)
支えてくれる人や仲間との関係を築くこと。
この4つの柱は、誰にとっても大切な“生きる基盤”です。
それぞれの人が、自分に合った形で少しずつ整えていくことができます。
🌷 リカバリーの10の原則
リカバリーの道には、特別な正解はありません。
それぞれが自分のペースで歩めばいいのです。
SAMHSAでは、リカバリーを支える10の原則を挙げています。
- 希望を持つこと
- 自分が主体であること
- さまざまな道があること
- 心も体もふくめた全体を見ること
- 仲間の支えがあること
- 人とのつながりを大切にすること
- 文化や背景を尊重すること
- トラウマ(心の傷)への理解をもつこと
- 力を分かち合うこと
- 尊敬と尊厳を忘れないこと
これらの原則は、だれかが決めた“治療の手順”ではなく、
人が生きるうえで大切にしたい心のあり方です。
🕊️ 日本でのリカバリーの広がり
日本でも、リカバリーの考え方をもとにした取り組みが広がっています。
その中のひとつが、「Taking Action(テイキング・アクション)」という学びのプログラムです。
Taking Action は、メアリー・エレン・コープランドさんがつくった
「WRAP(ウェルネス・リカバリー・アクション・プラン)」の考え方をもとにしています。
WRAPが「自分のリカバリープランを作る」ことに重きを置いているのに対して、
Taking Action は、仲間と共に学び、支え合いながら自分の力を育てていく教育プログラムです。
日本ではこの考え方を受けとめ、
文化や言葉の違いをいかしながら、日本独自の形として少しずつ育っています。
どんな人も安心して集い、自分の歩みを語り合える場を大切にしています。
🌸 さいごに
リカバリーは、だれかに“してもらう”ものではなく、
自分の内にある力を信じ、育てていくプロセスです。
たとえ道のりがゆっくりでも、
希望はいつもそこにあります。
あなたのリカバリーの歩みが、
あなたらしい光を放ちますように。